中小企業のM&A・事業売却のためのリーガルコンシェルジュ

M&Aの検討(初期)段階での一般的な注意事項を知りたい

SUMMARY

  • ・ まずは自社がM&Aに向いているか、可能性があるかの検討と、M&Aの目的や獲得目標の明確化、が必要です
  • ・ M&Aを検討している事実そのものが、社内外において非常にセンシティブな情報であるため、情報管理に注意する必要があります

1. M&Aの可能性の検討

M&Aは、会社の規模にかかわらず活用の可能性があります
ただし、会社の状態や環境などによって、向き不向きがあるのも事実です。

〔売り側〕

M&Aに向いている、M&Aがしやすい会社の例としては、以下が挙げられます。
  • ・ 業績が良く事業自体が堅調
  • ・ 借入金等の負債が少なく、債務超過ではない
  • ・ 決算内容が適切で大きな含み損益や簿外債務、粉飾などがない
  • ・ 他社と差別化できる商品やサービス等の強みがある
  • ・ 大手など優良顧客との取引口座を有している
  • ・ 取引先にとって自社の商品やサービスの代替性が低く、安定した取引継続が見込まれる、あるいは属する業界でM&Aが珍しくない
  • ・ 事業に必要な業務に関する社内の管理体制が整備されている
  • ・ M&Aによっても主要な人材の離反などが見込まれない
  • ・ 株主が集約されている

これらは、良いことばかりなので当たり前、と思われるかもしれません。

そこで逆に、M&Aがしにくい会社の例を挙げてみると、M&Aをしやすい会社の正反対、ということになります。
  • ・ 業績がふるわず慢性的な赤字で 回復の兆しがない
  • ・ 借入金が多い、あるいは債務超過
  • ・ 大きな含み損や粉飾があり、実質債務超過
  • ・ 商品やサービス等に付加価値が低く、容易に競合他社へスイッチされる可能性が高い。M&Aへの抵抗感が強い業界に属している。
  • ・ 業務に関する社内の管理体制が整備されておらず担当ごとに属人的となっている
  • ・ M&Aをした場合に主要な人材の離反が見込まれる
  • ・ 株主が分散しており少数株主が多い、現経営陣が株式の多数を保有していない、相当数を保有する株主がM&Aに反対することが見込まれる

〔買い側〕
買い側の場合、極端にいうと、相手を選ばずに、かつ取引資金さえあれば、M&Aをすること自体は可能です。しかし、当然のことながら、何が何でもM&Aさえすればよい、というものではありません。

買い側として、M&Aが向いていると考えられる要素を挙げると、以下のとおりです。
  • ・ M&Aにより達成したい目的や獲得目標を明確にもっている
  • ・ M&Aに投資できる資金的余力がある
  • ・ 対象事業等の評価にシビアで、合理的な取得価格を目指している
  • ・ 取得しようとする会社や事業のビジネスを良く理解している
  • ・ 自社事業と取得事業との相乗効果が見込まれる
  • ・ M&Aにより取得した会社や事業を、取得後も管理できる体制や人材を備えている
  • ・ 過去にM&Aを経験したことがある
  • ・ 取得先の会社・事業の伝統や文化、従業員の雇用、既存取引先との関係を尊重する意思がある
  • ・ 会社や事業の承継先として一般に抵抗感の少ない、対外的信用をもっている

2. M&Aの目的と獲得目標の明確化

M&Aの目的と獲得目標を明確にもっておくことは、M&Aを成功に導くために欠かせない条件です。

明確な目的と獲得目標は、いわばM&A取引を進めるにあたってのコンパスです。
ここでいう目的や獲得目標とは、例えば以下のようなものです。

〔売り側〕

  • ・ 事業や雇用の存続、維持あるいは発展
  • ・ 既存取引先との関係維持
  • ・ 譲渡価格
  • ・ 創業者・経営者等の利益、経済的メリットや経営責任からの解放
  • ・ 事業部門の最適化
  • ・ 税効果

〔買い側〕

  • ・ 自社グループの発展に寄与する特定の事業、資産、取引関係、人材、既存事業とのシナジーなど
  • ・ 事業拡大や多角化に必要な業種
  • ・ 取得企業や事業の将来性
  • ・ 予算あるいは価値に見合った価格設定
  • ・ 税効果
  • ・ 投資としての利回り、回収計画

これが明確でないと、取引にあたって迫られる判断にぶれが生じますし、社内や関係者の意思統一を図ることも難しくなります。
また、これらの目的や獲得目標のすべてが叶う取引になるとは限りません。そのような場合にも備えて、いくつかの獲得目標のなかでも、絶対に譲れないもの、他の目標が達成できれば譲歩もやむを得ないものなど、自社にとっての優先順位をもっておくことも重要です。

3. 情報管理

会社や事業の売却あるいは買収を検討している事実は、それ自体が非常にセンシティブで、社内外において秘密性の高い情報です。
検討段階でこのような情報が漏れてしまうと、社内や取引先の混乱や離反を招いたり、情報漏洩が原因で取引そのものを断念せざるをえなくなることもあります。
また、取引当事者が上場企業などの場合には、いわゆるインサイダー情報に該当することもあります。

このため、M&Aの検討に際しては、情報の取扱や情報管理が非常に重要になります。
具体的な対応策としては、

  • ・ 社内外で情報を取り扱うものの範囲を厳格に定めること
  • ・ 情報取扱者に対して、当該情報が厳秘であることを明確にすること
  • 開示する情報の範囲を可能な限り限定すること(不必要に、社名や所在地など会社が特定できる情報を開示しない)
  • ・ 取引の相手先(候補を含む)や外部の相談先等と、適切な守秘義務契約を結ぶとともに、秘密保持について信頼のおける先か見極めたうえで情報を開示すること
  • ・ アドバイザーや専門家などとの連絡や打合せに際しても、一般社員にM&Aをうかがわせるような方法は避けること

といったことが考えられます。

その他のM&Aなどに関するQ&A

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