一般的なDDの流れ(個別項目) | 中小企業のM&A・事業売却のためのリーガルコンシェルジュ

デューディリジェンス(DD)とは

一般的なDDの流れ(個別項目)

一般的なDDの流れ(全体)」でご紹介した項目について、個別にご説明します。

 

① 当事者(売り側と買い側 +仲介会社等)でDDのスケジュールや方法を仮決め

まず、DDの実施期間・スケジュールや実施方法を調整のうえ、仮決めします。

仲介会社等がいる場合には、仲介会社等が取り仕切って調整役を果たします。

実施方法について重要なのは、主に資料・情報の開示方法インタビューの有無・対象者になります。

開示方法はケースバイケースですが、データルーム等での現物の開示(閲覧)、コピーやPDF化したもの、あるいは加工可能な電子データの開示・提出などがあります。

DD資料等の開示に関しては、DDの事実自体を知る人員が社内の一部に限られているのが通常で、特に売り側の情報管理(M&A検討の事実)との関係で配慮が必要です。

 

② 買い側DD実施担当者のキックオフミーティング

買い側の会社ご担当者、仲介会社やFA、DDを担当する外部専門家が参加する、キックオフミーティングです。

①で仮決めしたスケジュール等を前提に、インタビュー日程や具体的なDDの進め方を打合せします。

このほか、M&Aでの獲得目標や、調査対象の範囲重点調査項目などについても、買い側と専門家で意見交換をしたうえで、情報を共有していきます。

DDの目的や効用」のうち「外部専門家などに依頼する場合」でも触れたとおり、獲得目標や重要項目などについて、実施担当者と十分な認識の共有、整理をしておくことが、DDの効果や効率、成果をより上げるのに役立ちます

 

③ 買い側から売り側へ、資料・情報、QA等の開示依頼(依頼項目リストの提示)

DD実施担当者がそれぞれ、DDに必要な資料や情報、質問事項のリストを作成し、売り側へ開示を依頼します。

依頼事項リストは、「ビジネス」、「財務」、「法務」と、DDの種類ごとに作成・提出する場合や、重複や売り側の負担なども考慮して、仲介会社などを通じて一つのリストに統一することもあります。

リストはエクセルで作成するのが一般的で、資料・情報の分類、具体的な内容、優先順位、依頼日、有無の回答、開示の状況、その他コメント欄などを設けて管理されます。

DD期間中、売り側買い側双方で随時更新のうえ、メールやバーチャルデータルームなどでやりとりされます。

なお、売り側、特に中小企業では、このような資料依頼への対応や開示に慣れていないことが通常です。

このため、リクエストの内容が抽象的にすぎると、何をどこまで用意すれば良いのか判断がつかなかったり、あるいは、あまりに量が膨大で途方にくれたりなど、その後の資料開示に支障がでることもあります。

そこで、DD実施担当者には、売り側の規模やマンパワーなどの実情にも配慮した、対応しやすいリストの作成やリクエストが求められます

また、売り側においても、仲介会社等あるいは会計事務所や弁護士といった専門家が、通訳代わりを果たしたり、効率的・効果的な資料開示についてアドバイスをするなど、支援が必要な場合があります

 

④ 売り側からの開示

買い側からのリクエストをもとに、売り側で、資料・情報や回答を準備し、随時開示していきます。

なお、開示に関して、財務関連については、会計データなどを中心に初めから電子化されているものも多く、データ等での開示・提出が容易ですが、特に法務で依頼する契約書などの書類については、中小企業ではデータ化されていないケースの方が多く、開示・提出に非常に労力を要する場合があります。

秘密保持のため、売り側社内でもDD対応を担当できる人員が限られていることもあり、通常業務の傍らに、かたっぱしから資料をコピーして提出するなど非現実的、という場合も少なくありません。

このような場合には、仲介会社等に資料の収集・整理に協力を仰いだり、紙ベースの資料を協力者にいったん預けたうえで、外部でコピーやデータ化の作業をする、などの対応をとることもあります。

 

⑤ 買い側での調査・分析 / 追加資料等の開示依頼(追加依頼項目リストの提示)

DD実施担当者は、随時開示される資料等を確認のうえ、レポート作成に必要な情報を整理したり、不明点や新たに判明した事項などについて、追加リクエストリストの作成を、同時並行で進めていきます

なお、④と⑤については、⑥以降も、基本的にはDD終盤まで続きます。

 

⑥ DD実施担当者から売り側の主要関係者へのインタビュー

DD実施担当者から、売り側の経営陣や従業員の方へインタビューを実施します。
(個別の事情により、インタビューではなく書面でのQAやりとりのみとなるケースも、なくはありません)

インタビュー対象者は、情報管理のため自ずと制約がありますが、少なくとも代表者その他役員など経営陣へのインタビューは行うのが一般的です。

なお、経営陣へのインタビューをマネジメントインタビュー(「MI」)と呼ぶこともあります。

一方、買い側のインタビュー参加者としては、DD実施者である各専門チームのほか、買い側の会社ご担当者も同席のうえ、一挙に実施するのが望ましいです。

DDの種類ごとに分断せず、多角的な視点での質問実施や疑問点の解消効率的な情報共有を図るためです。

売り側の負担軽減にもつながります。

インタビューでは、開示済み資料等をベースにした不明点や補足事項のほか、書類などの資料では明らかでない事項実態や運用などについてうかがいます。

また、事業や業界の将来性課題に対する経営層の方々の認識先行きの見通しといった定性的な情報や、書類では把握できない情報などを得ることもあります。

 

⑦ DD実施担当者から買い側(クライアント)への中間報告・報告会

必須の手続ではありませんが、DDの中盤から終盤近くのタイミングで、買い側へDDの途中結果を中間報告することが良く行われます。

DDやM&Aは、時間的制約があるケースが多いので、軌道修正の必要性や大きな課題の有無などについて、タイムリーに情報を共有する、という意味があります。

また、補充調査や重点調査事項の追加をDD担当の専門家チームから提案することもあります。

 

⑧ DD実施担当者から買い側(クライアント)への最終報告・レポートの提出

中間報告のあと、補充や追加の調査を実施し、期限までに完了した調査の結果を、最終の調査報告書(レポート)の形で買い側(クライアント)に提出します。

レポートは大部となることも多いため、要点をクライアントの経営陣などに直接口頭で説明し、質疑応答などをする機会として、最終報告会を開くこともあります。

一方、中間報告会を経ていて、そこから重要な修正がない場合には、最終報告会が省略されることもあります。

 

 

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